順番決めや席替えなどで使われる「くじ引き」は、なんとなく後に引く方が不利に見えます。
実は平等なのですが、なぜこういった心理になるのかを考えてみます。
まず,くじ引きが平等であることを証明しましょう。
例題 1
| 当たりくじ 3 本を含むくじが 10 本ある。
このくじを元に戻さずに,1 本ずつ 3 回引くとき,
3 本目が当たりくじである確率を求めよ。
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地道に場合分けをしたくなりますが,ちょっと見方を変えてみます。
途中でひくのをやめず,最後まで引ききってしまう
元に戻さないのですから,最後まで引いてしまう,という発想です。
当たりくじの場所の選び方は,10C3 通り
このうち,3 番目に当たりくじの 1 本を固定すると,
残りの当たりくじの場所の場所の選び方は,9C2 通り
(参考;3 番目を固定し,残りの当たりくじを選ぶ)
以上より,求める確率は,
何番目が当たりであろうと,確率はまったく同じ式になります。
最初の 2 本がいずれも当たりであったとき,3 本目が当たりになる確率は 1 / 7 ≒ 0.14 となりますが,
これは条件付き確率による心理トリックです。
さらにものの見方を変えると,「3 番目を最初に引いても良い」ので,
3 本目が当たりくじである確率は 3 /10 となる,ともいえます。
例題 2
| 当たりくじ 3 本を含むくじが 10 本ある。
このくじを A さんが一度に 2 本引き,残った 8 本より B さんが一度に 2 本引く。
(1) B さんの引くくじのうち,少なくとも 1 本が当たりくじである確率を求めよ。
(2) 2 人とも,少なくとも 1 本の当たりくじを引く確率を求めよ。
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元に戻さないので,10 枚のくじを 1 列に並べてしまって構いません。
(1)
| 余事象は,「3 番目も 4 番目もハズレ」である事象です。
これより,求める確率は,1 -
| 8C3 | = 1 - | 56 | = | 8
| 10C3 | 120 | 15
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A さんが少なくとも 1 本の当たりくじを引く確率も,やはり 8/15 となり,平等です。
| (2)
| さすがに,場合分けをしたほうがよさそうです。
[事象 A] A さんの引いたくじが 2 本とも当たりで,B さんが残った当たりくじを引くとき
これが起こる確率は, | 3C2× | 7C1
| = | 1
| 10C2 | 8C2 | 60
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[事象 B] A さんの引いたくじのうち,ちょうど 1 本が当たりで,B さんが少なくとも 1 本当たりくじを引くとき
これが起こる確率は, | 3C1 × 7C1 | ×
| 2C2 + 2C1 × 6C1 | =
| 3 × 7 ×(1 + 12) | = | 13
| 10C2 | 8C2
| 5 × 9 × 4 × 7 | 60
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事象 A,B は互いに排反ですから,求める確率は, | 7
| 30
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単純に (1) の 2 乗,とはならないようですね。
2 人とも 2 本ずつ当たりを引く,というあり得ない事象を含んでしまうからでしょうか?
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