重複順列について

n 個の異なるものから,重複を許して,r 個取り出して並べた順列を,
n 個から r 個とった重複順列という。

順列との違いは,「同じものを何度使ってもよい(重複を許す)」ことです。
さいころを何度も振るなど,同じことを繰り返すときは,原則この規則性に従います。

例:3 色の玉を,繰り返し使うことを許して並べる
樹形図は,右の図のように,必ず 3 倍ずつ増えていくのが特徴です。
一般に,n 個の異なるものから,重複を許してとると,樹形図は n 倍ずつ増えていきます。
これを r 回繰り返すので,nr 通りになります。
大概の教科書には nr と記載されていますが、これにはワナがあります。
nPrnCr と同列に扱うと,うっかり nr であると錯覚してしまいます。
「重複を許す」ときは nr でも良く,
問題によっては rn の順に現れることがある
のが特徴です。
つまり,玉の色は 3 色しかなくても,繰り返し使うことを許せば 5 個並べることもできるのです。
そこで,私は次のような覚え方を提案します。

(選択肢)回数

例 1 : 3 色の玉を,繰り返し使うことを許して 5 個並べる方法は,35 通り。
例 2 : さいころを n 回振ったときの目の出方は,6n 通り。

例題 1 1,2,3,4,5 の数字を使ってできる 3 桁の整数は何個あるか。
ただし,同じ数字は何度使ってもよい。

それぞれの位での選択肢は 5 通りあり,それを 3 回繰り返すので,53 = 125 (通り)

例題 2 A, B, C の 3 人に 5 冊の本を渡す。1 冊ももらえない人がいて良いとき,その選び方は何通りあるか。

「A, B, C」と書かれたおみくじを 5 回繰り返し引いたと考えればわかるかもしれません。
こう考えると、1 冊もらえない人が出たとしても不思議ではありません。
よって、35 = 243 (通り)
まったく同じ式となる類題:A, B, C の 3 部屋に 5 人を入れる。1 人も入らない部屋があっても良いとき…

例題 3 8 冊の本を選ぶ。1 冊も取らなくても良いとき,その選び方は何通りあるか。

これも例題 2 と同様に、1 冊ごとに、「当たり」「外れ」のおみくじがあると考えてください。
8 冊とも「外れ」だと、「1 冊も取らない」となりますが、
これも 1 通りとしてカウントしてほしい、というのが問題の意味です。
よって,28 = 256 (通り)

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