じゃんけんの確率

 じゃんけんをするとき,人数が増えれば増えるほど,
勝敗が決まりにくくなると実感している人は少なくないと思います。
ここではじゃんけんに関するいろいろな確率を求めることを考えます。
ただし,全員グー,チョキ,パーを等確率で出すものとします。

例題 1 A と B がじゃんけんを 1 回するとき,A が勝つ確率を求めよ。

A と B の手の出し方はそれぞれ 3 通りあり,互いに独立ですから,
全事象は 32 通り
A が出す手は 3 通りあり,それに対して,B が負けるような手の出し方は 1 通り
よって,求める確率は,3=1
323

例題 2 A ,B,C の 3 人でじゃんけんを 1 回するとき,A のみが勝つ確率を求めよ。

例題 1 と同様,A の出す手に対して,B,C の手の出し方は 1 通りです。
よって,求める確率は,3=1
339

例題 3  A ,B,C,D の 4 人でじゃんけんを 1 回するとき,ちょうど 2 人が勝つ確率を求めよ。

「ちょうど 2 人」が勝てば良いので,誰が勝ってもかまいません。
全事象は 34 通りあり,それらは同様に確からしい。
勝つ手の選び方は 3 通り
勝つ人の選び方は 4C2 通り
以上より,求める確率は,
3 × 4C2=2
349

一般に,n 人でじゃんけんを 1 回するとき,ちょうど k 人が勝つ確率は,
3 × nCk=nCk
3n3n - 1

例題 4  A ,B,C,D の 4 人でじゃんけんを 1 回するとき,勝敗がつく確率を求めよ。
(何人が勝って構わない)

全事象は 34 通りあり,それらは同様に確からしい。
勝つ手の選び方は 3 通り
1 人だけが勝つ事象,ちょうど 2 人が勝つ事象,ちょうど 3 人が勝つ事象があり,
それらは互いに排反であるから,求める確率は,
3 × (4C1 + 4C2 + 4C3= 4 + 6 + 4=14
342727

n 人への拡張を考えると,この方法では面倒です。
ちょっと表現に問題があるかもしれませんが,次のとおりです。

〜発想の転換 「勝ち組」と「負け組」に分ける〜

勝つ手の選び方は 3 通り(ここまでは同じ)
各自が「勝つ手」と「負ける手」を選ぶ方法は,24 通り
ただし,この中には「全員勝つ」と「全員負ける」が含まれるので除かれる。
よって,求める確率は,
3 ×(24 - 2)= 14
3427

この解法であれば,何人でじゃんけんをしても平気です。
一般に,n 人でじゃんけんを 1 回行うとき,勝負がつく確率は,
3 ×(2n - 2)= 2n - 2
3n3n - 1

この一般式について,n を大きくすると,確率は 0 に近づいていきます。
人数が多いと勝敗が決まりにくくなるのは,このためです。

例題 5  n 人でじゃんけんを 1 回するとき,勝敗がつかない(アイコになる)確率を求めよ。

直接考えると大変なことになりますが,例題 4 の余事象であると分かれば大丈夫です。
求める確率は,
1 - 2n - 2
3n - 1

くだらない計算機:n 人でじゃんけんを 1 回するとき,勝敗がつく確率
n =  
確率は
およそ ? 回に 1 度の割合です。

上のスクリプトを利用したくだらない計算
人数1回のじゃんけんに 3 秒かかるとき,
勝敗がつくまでかかる時間の期待値
5 8.1 秒
10 55 秒
20 55 分
30 53 時間(2 日)
50 20 年
75 51 万年
100 129 億年
爆発的に時間が伸びていくのがわかるかと…
100人でじゃんけんをしたら,勝敗がつくまで地球の歴史を 3 回繰り返さなくてはならないわけですね。
このことから、大勢でじゃんけんをするときの工夫として,次の方法が考えられます。
● じゃんけんに参加しない1人とじゃんけんをして,その人に勝った者が勝ち(どこかの番組でやっていましたね。)
● 最も多い手を出した人が勝ち(「多い勝ち」とも言いますが,事前の画策があると不公平になります。)
最終的に1人しか勝ち残れない場合は特殊なルールを併用して決まりやすくしましょう。…

関連入試問題:中央大学理工学部の問題
上級者(マニア)向け:ジャンケンをして1人だけ勝ち残るには?