じゃんけんをして1人が勝ち残るには?

ここでは、ジャンケンをして1人が勝ち残る確率と、そうなるまでの回数の期待値を考察したいと思います。
2人になっても、何を出すかはかならず1/3であるとします。 ジャンケンの基本については、こちらをご覧下さい。

まずは2人からいきましょう。
1回でAの勝つ確率は1/3、Bの勝つ確率は1/3、「あいこ」の確率は1/3です。
1回で勝敗のつく確率は2/3ということになります。
n回目で決まる確率は、n−1回「あいこ」が続いた後に勝敗がつくわけですから、
1/3n-1*(2/3)=2/3nです。
よって、勝敗がつくまでじゃんけんを続ける回数の期待値は、
無限級数の和の公式より、
(2/3)*Σ(n=1 to ∞)(n/3n-1)=(2/3)*{1÷(1−1/3)}2=3/2=1.5
確かに、2人でじゃんけんすれば、1,2回で勝負がつきます。

一般に、n人でじゃんけんをして初めて勝負がつくまでの回数の期待値は、
n-1/(2n−2)回です。

3人でじゃんけんをした場合 1回の勝負で1人が勝つ確率は1/3
1回の勝負で1人が負ける確率は1/3
3人とも残ってしまう確率は1/3

2回で1人が勝ち残る確率は、つぎの2つが考えられます。
(1)1回目は1人だけ負け、2回目は2人で勝負をする (1/3)*(2/3)=2/9
(2)1回目では勝敗がつかず、2回目で1人が勝つ (1/3)*(1/3)=1/9

よって、2回目で1人が勝ち残る確率は3/9です。
3回目も1/3である筈は無いですね。もう少し様子を見て見ましょう。
3回目で1人が勝ち残る確率(例えば3→2→1のときは、あいこ、1人負け、1人勝ちの順です)
(1)3→3→1 のとき (1/3)*(1/3)*(1/3)=1/27
(2)3→2→1 のとき (1/3)*(1/3)*(2/3)=2/27
(3)2→2→1 のとき (1/3)*(1/3)*(2/3)=2/27
よって、3回目で1人が勝ち残る確率は5/27です。

4回目で1人が勝ち残る確率
(1)3→3→3→1 のとき (1/3)3*(1/3)=1/81
(2)3→3→2→1 のとき (1/3)*(1/3)*(1/3)*(2/3)=2/81
(3)3→2→2→1 のとき 同様に2/81
(4)2→2→2→1 のとき 同様に2/81
よって、4回目で1人が勝ち残る確率は7/81です。

以上のことからn回目で1人が勝ち残る確率を予測すると、
(2n−1)/3nとなります(証明略)。
よって、求める期待値は、公式より、

およそ2.5回ということになります。(らすかるさんのお蔭で訂正できました)
3人に増えるだけで、こんなに複雑になるのですね。

さて、より良い解法をらすかるさんから頂きました。

条件付き期待値を利用する考え方

上の3人でじゃんけんをした場合について、条件付き期待値という考え方を使ってみます。
まず、3人でじゃんけんしたときに勝負がつくまでにかかる回数の期待値は、
2/(23−2)=3/2回…Aです。
仮にここで一人だけが勝ち残った場合、この3/2回で確定です。
次に、2人が残った場合を考えると、
2人が勝ち残る確率は32/32=1/3です。
この1/3が起こった条件の下で、勝負が付くまでにかかる回数の期待値は
3/(22−2)=3/2です。
よって、一旦2人になってから1人が勝ち残るまでの勝負回数の条件付き期待値は、
(1/3)×(3/2)=1/2(回) 3→2→1の順番で決まった時の期待値はこれにAの3/2をかけると求まります。
よって、3→2→1の回数の期待値は3/4です。
3→1、3→2→1を加えると、(3/2)+(3/4)=9/4となります。
一般化を意識して計算しなおすと、(3/2)*{1+(1/3)*(3/2)}です。

4人でもやってみましょう。
4人でじゃんけんをして勝負が決まるまでの回数の期待値は、
3/(24−2)=27/14
勝負が決まった条件のもとで、確率とその後の期待値を表にすると次の通りです。
残り人数そうなる確率その後の期待値
2人42/33=6/272/3
3人43/33=4/274/9
よって、求める期待値は
(27/14)*{1+(6/27)*(3/2)+(4/27)*(9/4)}={27+6*2/3+4*9/4}/14=45/14となります。

n人への拡張

この漸化式をnだけの式で表すことは私にとっては不可能ですが、
根性でプログラムを走らせることはできそうです。
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