玉を袋から取り出す

表題どおりですが,問題文をよく読むことに加え,格言 7 時制の一致に注意しましょう。

例題 1  赤玉 4 個,青玉 3 個,白玉が 2 個 が 1 つの袋に入っている。
この中から 3 個の玉を同時に取り出すとき,次のものを求めよ。
(1) 3個とも赤玉となる確率
(2) 3個とも色が異なる確率
(3) 3個とも同じ色となる確率
(4) 赤玉がちょうど2個となる確率
(5) 赤玉が2個以上となる確率

 全事象は 9 個から 3 個を「同時に」取るので,9C3 = 3・4・7 = 84 通りあり,これらは同様に確からしい。

(1) 赤玉 4 個には区別をつけるので,4 個のうちから 3 個選びます。よって,求める確率は
4C3 = 1
3・4・721

確率計算は約分できることが多いため,掛け算はできるだけ後回しにして,
(84 = 3・4・7 と,選択肢を残しておいて)先に約分してしまう工夫もしましょう。

(2)  「各色から 1 個ずつとる」事象であるから,この選び方は,4C1 × 3C1 × 2C1 通り
以上より,求める確率は,
4・3・2 = 2
3・4・77

M さんからの質問
4 × 3 × 2 = 1 と考えました。
98721

時制の一致を無視してしまった誤答です。
この解答を問題文に直すと,
「1 個ずつ,元に戻さずに 3 個とるとき,赤,青,緑の順に取り出される確率」となります。
「青,緑,赤」などの順番で取り出されても問題の条件を満たすわけですから,
全事象を 9・8・7 として考えたい場合,考察する事象には「取り出される順番」を考慮に入れなくてはいけません。
4・3・2 × 3! = 2
9・8・77
このように,1 個ずつ分けて取り出して考えても,時制の一致に気をつければ正しくなりますが,推奨できる解法とはいえません…

(3)  [A] 全赤玉であるとき,(1) より 4 通り
 [B] 全て青色であるとき,3C3 = 1 (通り)
事象 [A],[B] は互いに排反であるから,求める確率は,
4 + 1=5
3・4・784

(4) これは,赤玉のことしか書かれていないことで,
4C2と誤ってしまうことの多い引っかけ問題の典型です。
9C3
残り 1 個は他の色であり,それは(青・白の) 5 個あるから,求める確率は,
4C2×5C1=6・5=5
9C33・4・714

(5)  [C] 赤玉がちょうど 2 個であるとき,(4)より 30 通り
 [D] 全て赤玉であるとき,(1) 通りより 4 通り
事象 [C],[D] は互いに排反であるから,求める確率は,
30 + 4=17
3・4・742

I さんからの質問
4 個ある赤を先に 2 個とれば,3 個目は何をとっても良いから,
分子を4C2×7C1と考えました。
(2)の M さん同様,全事象は 3 個同時にとっているのに,
この考えでは分子の 3 個目だけ,時間が異なっています。
これは,「3 個とも赤」である事象を何度も重複して数えてしまっています。

例題 2  赤,青,黄,緑の玉がそれぞれ 4 個ずつ,合計 16 個が箱の中に入っている。
この箱の中から 4 個の玉を取り出すとき,ちょうど 3 種類の色が現れる確率を求めよ。

アヤノさんから頂いた題材です。ありがとうございます。
格言 2 と 3 のとおり,同時に起こる事象を丁寧に分けましょう。

全事象は 16C4 = 4・5・7・13 通りあり,それらは同様に確からしい。
まず,色の選び方は,4C3 = 4 (通り)
選ばれた 3 色のうち 1 色は,2 個取り出される。この色の決め方は 3 通り
各色について,玉の取り出し方は,4C1×4C1×4C2 通り
以上より,求める確率は,
4・3・4・4・6 = 288
4・5・7・13455

例題 3  箱の中に,a,b,c,d,e の文字が 1 つずつ書かれたカードが,2 枚ずつ合計 10 枚ある。
この中から 4 枚のカードを同時に取り,カードに書かれた異なる文字の個数を X とする。
例えば,a,a,b,c のカードを取り出したときは X = 3 である。
(1) X = 2 となる確率を求めよ。
(2) X = 3 となる確率を求めよ。
(3) X の期待値を求めよ。

この問題はちひろんさんより頂きました。ありがとうございます。
考え方は例題 2 と同じです。

全事象は 10C4=10・3・7 通りあり,これらは全て同様に確からしい。

(1) X=2 となるとき
2 種類の文字を 2つずつとる事象であるから,文字の選び方だけ考えればよい。
文字の選び方は 5C2 通りあるから,求める確率は,
5C2 = 1
10・3・721
(2) 1 文字が 2 個,その他の文字が 1 個ずつ選ばれる事象である。
2 枚使う数字の選び方は 5C1 通り
1 枚ずつ使う数字の選び方は 4C2 通り
さらに,1 枚ずつ使う文字の取り出し方は,それぞれ 2 通りずつある。
以上より,求める確率は,
5・6・22=4
10・3・77
(3)  X = 1 となることはないので,(1),(2) に加えて X = 4 のときを考える。
X = 4 となるとき,文字の選び方は 5C4通り
各々の文字について,2 通りずつの選び方があるから,
X = 4 となる事象は 5×24=80 (通り)
以上より,求める期待値は,
2・10 + 3・120 + 4・80 =700=10
2102103
便利な「裏技公式」があるかは,保留ということで…

取り出し確率の応用の 1 つが,ポーカーの役ができる確率です。

練習問題

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